週刊ベースボールONLINE

第14回レディスプレリュードに
2017/10/10 23:48

バタイユはやはりいなかった。
 G-FRONTへは戻らず、混雑しはじめたパドックから
まばらな人の流れとは逆方向に、自分の影が伸びている4号スタンドへ向かう。
直線に並ぶ木々や、スクエアの腰かけにも煌びやかな電飾が施され
全てのものが光を帯びることを求められている気分になる。
スタンド1Fの売店を足早に過ぎ、奥の休憩所のガラス戸を開けると
潜水を終えたように息を吐き、辺りを見回した。
 低い天井に備えつけられた蛍光灯は、全てを照らすことを諦めたかのように
所々に影をつくりながら、予想紙に光を落としている。
ベンチに腰を下ろすと、画面に映るオッズと出走時間を意識しながら
バタイユがしていたように、返し馬を凝視する。
 馬体に詳しいからなのか、眼球という意味を含ませたのか、
英さんらしい、適当な呼び名だったが、
あの白髪の爺さんはこの名前を気に入っているはずだと言った。
サンチャゴよりはいいだろうと。
エリーが一度、本人にそう呼びかけた時の表情から察したらしいけれど、
あまりに希薄な根拠で、自分の相馬眼と大差ないと思ったのを覚えている。
 芦毛の馬体の良し悪しを見分けるのは難しい。
全体的に毛艶が黒がかっている方がいいが、
分からなければ返し馬で判断しろというのが
バタイユから教わったことだった。
 レディスプレリュードで、ホワイトフーガを頭にしたのは
馬券的には失敗だったけれど、返し馬で夜に浮かぶ芦毛は白く眩かった。
 払い戻しとベンチに座る人の偏りで重心が傾いた船の上を歩くように、
揺らめきながら反対側の出口のガラス戸を開けた。
無駄だと思いながら、屋外の喫煙所にもいないことを確認すると、
暗がりから最終コーナー方面に歩く。
 ミチオへの返事はもう決めていた。
息がもつだろうか。
打ち寄せる光を
平和島の暗い倉庫群が打ち返していた。

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備忘:ホワイトフーガ → クイーンマンボの3連単流しで外す。
時間にある程度融通がきくようになり、競馬を再開してから
年齢性別問わずに流動的に仲間が増え、競馬場に足を運ぶ機会が増えた。
(福島競馬場は特に良かった。でも、大井競馬場が原点なのだと思う。)
夏競馬は馬券的には散々だった事もあり、
秋競馬は折角なのでnetkeiba予想大会を利用し、真摯に予想をしようと思う。
毎日王冠はソウルスターリングをどうしても外せず、自分に失笑したが
サウジアラビアロイヤルCは的中しグリーンチャンネルCとオパールSはSOSOという感じか。
だけど、仲間が増え、真剣になればなるほど、過去を想わずにはいられない。

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