『第2話』
「お?い、大丈夫か?」ボーッとする意識の中に遠くから声が聞こえてくる。あ?、丸さんか坂本さんが心配して声かけてくれたんだと思い「あ?ビックリした!いきなり暴走するんだから!後藤コーチが腕をグルグル回したんですかね?」と軽口を叩きながら運転席から見えた光景に和真の目が思わず点になった!全く見たことのないユニフォームを着た男たちが周りを取り囲んでいたからだ。何かあの時に似ているなと思いながら「今、何時代ですか?」と聞いてみた。「何時代って?石器時代?江戸時代?昭和時代に決まってんじゃねえか」と一人の男が答えた。「何だよ、また昭和に戻っちゃったのか?今度は未來の方が良かったのに」とブツブツ言いながらも気を取り直して「ここ巨人のキャンプ地ですか?長嶋監督はどこにいます?」訝しげな顔をして別の男が言った「巨人ってなんだよ!長嶋監督って誰だよ?」和真は恐る恐る聞いてみた「今って昭和何年ですか?」「何、言ってんだよアンタ!昭和9年に決まってんじゃねえか」『ガ?ン』和真の頭の中の鐘が打ち鳴らされた。「前に来た時は、確か昭和51年だったからな、え?っ!ってことは巨人っていうチーム自体が出来る前なのかよ」(この辺は東京ドーム横の野
球博物館でちゃんとプロ野球の歴史を
学んでいる和真です。えらい、えらい)
「困っちゃったな?」と言いながら、何か嬉しそうな和真である。その時「大変だ!サードの水原が腰を痛めて動けない、誰か代わりに試合に出られる奴いないか?」その声に反応する和真「はい、はい、は?い、ボクやります!」いきなり現れた男の立候補に驚きながら「お前、ホントにサード出来るのか?」満面の笑みで「ボク、今年ゴールデングラブ賞を獲ったばっかです!」「は?っ?なんじゃその何とかグラブって?」別の男が言う「こいつ、見たこともないマークのユニフォーム着てるから、どっかの選手じゃないの?緊急事態だから監督に言って試合に出しちゃおうぜ!ホントに守れるんだな!それで打順は何番打ってたんだ?」したり顔で答える和真「一応4番打ってます!」「おいおい、ホントかよ?まぁ、とりあえず8番でいいだろ?」不満顔で「4番にはボクを呼ばんってことですね!」とダジャレをかますがスルーされる和真「まぁ、いいですわ!試合で打てば分かります!打てば響くってね(笑)」
またしてもスルーされ憮然とする和真を冷ややかに見つめる選手たちが驚きの声を上げるのは、そのわずか数時間後のことだった。 …続く
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