対する沢村栄治も好投を続けメジャーの強打チームに得点を許さない。常に余裕綽々だったベーブルースも苛立ち「ヘイ、あのスクールボーイを何とかしろ」とベンチから鬼の形相で怒鳴りつける!沢村はしなやかなフォームからキレ抜群のストレートを投げ、ドロップと呼ばれた鋭く落ちるボールを駆使してメジャーの強打者からバッタバッタと三振の山を築いていく!それを目の当たりにした和真は「ドロップって凄いな!あんな厳しいボールは打てんぞ!佐久間のドロップなら甘いんだけどな」とブツブツおやじギャグを呟いている。特に圧巻だったのは1回裏から2回裏にかけて2番ゲリンジャーからルース、ゲーリック、フォックスと続くメジャーチームが誇るクリーンアップを4者連続三振に斬ってとったピッチングであった!これで、それまでの試合ではスタンドで日米の国旗を振って応援する芸者衆にお札を鷲掴みにしてスタンドに放り投げていた陽気なルースの姿が消え鬼の形相になったという次第である!しかし、7回裏にルーゲーリックに痛い1発を浴び1点ビハインドで9回表を迎え早くもツーアウトと敗色濃厚!7番バッターが打ち取られ試合終了と思った矢先、ネクストバッターズサークルに控える2打席連続で鋭いヒットを飛ばしている和真の姿が目に入ったのかピッチャーの手先が狂いデッドボール苦悶の表情を浮かべ自力で起き上がれないバッターが肩を担がれてベンチにさがると代走が告げられた!ここで悠然とバッターボックスに入る和真はピッチャーをひと睨みする!、ピッチャーは、また当てたらいくら大人しい日本人でも激怒するとビビったのか真ん中へ甘いボールをスッと投げてしまう!この失投を和真が見逃すはずもなくバットを一閃、あっという間に打球はセンターオーバーのスタンドイン!打った瞬間、確信歩きで1塁に向かう和真の肩に熱狂した大観衆の歓喜の怒号が突き刺さる!思わず「超キモチえ?」と呟く和真(アンタは北島康介かっつ?の)スタンドのキレイどころの芸者衆からヤンヤの喝采と色っぽい流し目をもらい照れまくる和真
その裏のメジャーの攻撃も和真のスーパープレーで凌ぎきり全日本は初の勝利をメジャー軍団からあげたのである!ヒーローインタビューもないこの時代、試合後に律儀にも赤いトラクターで草薙のグランド整備を始めた和真にベーブルースが足早に歩み寄る!「ヘイ!アメージングボーイ!アメリカに渡ってオレと一緒に野球をやらないか?」なんとなく英語でまくし立てるルースの言っている意味を理解した和真はルースの目を見てこう答えた「ボク、和食が好きですねん!ステーキばっかじゃ飽きますわそれにボク日本でやり残したことがありますねん」日本語が分かるはずのないルースがニヤっと笑って「トリプルクラウン?」と聞いた!「そう三冠王、村上より先に獲らんとアカンのですわ」それを聞いたルースは「お前なら出来るさ!アメージングボーイ!」そう言ってその大きな手で和真の肩を思い切り叩いた!それが合図となりデロリアンこと赤いトラクターが猛スピードで走り出した!草薙球場の外野フェンスにぶつかる寸前に、またしても目の前の空間がグニャグニャとなり和真は気を失った!「オイ、和真!しっかりしろ!」その大声に目を覚ました和真の目に入ったのは心配そうに覗き込む丸の顔であった。「危なかったんだぞ和真!もう少しでフェンスにぶつかると思ったら一瞬赤いトラクターごとお前が消えたからビックリしたけど、すぐにまた表れて二度ビックリしたぞ!」「丸さん、今度は短い時間旅行でしたわ」「なに言ってんだ和真?それよりお前の着ているユニフォームどうしたんだよ?」和真のユニフォームには全日本の文字がくっきりと踊っていた
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