先日映画『異端者の家』を観てきました。
私の映画仲間の間では賛否両論ある映画です。私は、本作は大変レベルの高い秀作だと思いました。
モルモン教の若い女の子宣教師2人が、Mr.リードの家へ布教に訪れる。世間から変人扱いされ、嫌がらせをされることも多い2人は、温かく自分たちを受け入れてくれるMr.リードを信用して彼の家に入る。しかしその家は地獄へと続くような館だった。そんな恐怖の館に閉じ込められた2人は果たして脱出できるか!?…というお話。
サイコ・スリラーのエンタメムービーではありますが、内容は非常に哲学的で考えさせられる映画です。Mr.リードが宣教師の女の子2人に矢継ぎ早に宗教的で哲学的な質問を投げかけ、選択を迫ります。更に彼女たちのモルモン教も否定しだし、他のどの宗教も真実とは思えないと言い、真実であるたった一つの宗教は何かというテーマを追求していきます。やがてMr.リードは「宗教とは支配のシステムだ」という結論を出します。そしてここがこの映画の恐ろしいところなのですが、終盤まで見ていくと、女の子2人が自ら選んだ選択で運命が決まっていくように見せながら、実はMr.リードに操られて地獄へと導かれているのだと分かります。Mr.リードが「宗教とは支配のシステムだ」という持論を体現していることに気付かされるのです。敬虔なモルモン教の信者である女の子2人はMr.リードの持論に反逆することで、この恐怖の館からの脱出を試みます。その行動には崇高なものを感じ、胸打たれました。
宗教を持たず、神も信じてない私には、Mr.リードの持論に納得してしまったのですが、モルモン教の女の子たちの行動や、彼女たちに起こる奇跡を見て、宗教や神は頭で理解するものではなく、心で信じる純真なものなんだと思いました。信じる者は救われる…。
とにかく細部にまで作りに作り込まれた映画です。Mr.リードがまくしたてる説得力のある講説は観客をも呑み込んでしまう勢いがあります。観客を蜘蛛の巣に引っ掛かった蝶のようにしてしまうような映画です。鑑賞後、Mr.リードに洗脳されている自分に気付き、ゾッとしました。
英国の貴公子、ロマコメの帝王と呼ばれたヒュー・グラントがサイコパスな恐~いジジイを好演してます。ヒュー・グラントの名演も必見!
『異端者の家』への訪問をオススメします(笑)
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